海外の企業

上に挙げたものとは別のアメリカの農業ソリューション企業では、農業へのアプローチの3本柱の1つとして「サステナビリティ」を挙げています。企業が利潤を追求する前提として、社会や地球環境を保っていくことを重視しているのです。

同社によると、世界中の食品向けの製品を製造しているヨーロッパの工場の巨大ボイラーの燃料を、石炭から木質チップに変更することで、二酸化炭素の排出量と吸収量が同量になり、実質的にカーボンニュートラルの状態を実現できるとのことです。この木質チップはバイオマス燃料とよばれるものの一種で、このほかにもバイオマスエタノールなど、植物由来の燃料はこのカーボンニュートラルの実現に貢献しているとされます。

日本国内にもこの問題に積極的に取り組んでいるところがあります。東京の工業計器メーカーでは、バイオマス資源の開発に注力し、栽培資源系(成長が早い、糖質性が高いなど、燃料として栽培される農作物に由来)と廃棄物資源系(生産活動の過程で出る廃棄物由来)の資源を化石資源に代わって燃料に用いることで、カーボンニュートラルを目指しています。

日本はもともと化石資源に乏しく、環境に負荷をかけずに生産を行ううえでこうしたバイオマス資源(燃料)の開発は非常に重要になっているといえます。バイオマス燃料の燃焼でも二酸化炭素は発生しますが、この場合の二酸化炭素は、もともと植物由来の燃料が空気中の炭素を固定していたものが再び放出されるわけで、新たに二酸化炭素を「生成」するものではないという点でカーボンニュートラルであると考えられています。

農業ソリューション企業

農業においては、それぞれの農家が経験に基づくさまざまな知識を持っています。それらの経験や知識を個々の農家が管理するだけではなく、企業が開発した技術によってデータを管理・共有することで、より効率的に生産が行えるようになります。農業において、こういったデータの蓄積と提供を行う企業は農業ソリューション企業と呼ばれています。

農業ソリューション企業の目的は短期的な収穫量の増大ではなく、地球規模で農業や食糧生産を考えていくことです。人口増大に見合う生産の向上を見据えつつ、環境への悪影響を最小限に止めるために、研究を重ねているのです。

日本にも支社を持つアメリカのとある農業ソリューション企業でも、農作物の生産において温室効果ガスの排出をなくすための方策をとっています。これには作物の遺伝子組み換えや蓄積してきたデータの活用、ある種のガスの生成を抑えるため、大きく土壌を掘り起こさないようにすることや、カバークロップ(作物を作らない期間に、土壌侵食の防止を目的に作付けされるイネ科やマメ科などの植物)の栽培などが含まれます。また、同社は主力分野である農薬の分野においても、温室効果ガスの排出を抑えるための製品を研究・提供しています。

カーボンニュートラルと農業による温室効果ガスの削減

地球の歴史において、気候はさまざまに変化しています。氷河期と言われる時期においては、地球上に大規模な氷河である氷床がみられ、海水の体積が小さくなります。氷河期でない時期は「間氷期」と呼ばれ、比較的温暖な気候が続きます。現代は間氷期であるといえますが、気温の上昇は地球の歴史上類を見ないものとなっており、環境への影響が広がっています。それを地球温暖化と読んでいます。

先に述べたように、地球には氷河期を脱して温暖な気候へと向かう時期があるのですが、現代において用いられる「地球温暖化」という言葉は、地球の自然なサイクルとは異なり、生物の活動の影響に起因する気候の温暖化を指すことが多くなっています。

地球温暖化の原因として挙げられるのが温室効果ガスです。温室効果ガスは、対流圏オゾン、二酸化炭素、メタンといったものが挙げられますが、これらの量が増えることで、温室効果がもたらされてしまいます。温室効果ガスの排出による温暖化が問題になるのは、過去に地球が経験してきた気温の上昇や下降と比較して、ごく短期間で気温の上昇が起こっているからです。

人類が活動していくうえで、温室効果ガスの放出自体は避けられません。温暖化の影響で、動植物も種によって数を減らしていますが、人類に関してはそう遠くない将来に爆発的な人口の増加が見込まれています。食料需要の急増に応え、かつ温室効果ガスを削減するために、農業においても工夫が必要となっています。

ここでは、これらの問題への対策としてカーボンニュートラルという手段をとっている農業ソリューション企業について説明します。